株式会社 浅野

ASANOマイスターの矜持 技術の見える化 プロジェクトH 新本社ご案内

ASANOマイスターの矜持 vol.02 嘉藤修(株式会社浅野 技術開発部 研究開発プロジェクトリーダー)

  • イントロダクション
  • 世界初を作り続ける仕事 世にないモノづくりの 途を切り開く
  • 職人「技」におぼれない その意気込みと仕組みが 浅野にある
  • ナンバー2ではダメなんです モットーは顧客の期待に 100%応えるコト

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ナンバー2ではダメなんです モットーは顧客の期待に 100%応えるコト

事の得意技は「ガッツ」と語る嘉藤は高校時代、柔道部で黒帯を締めていた。得意技は背負い投げ。「 一本背負い」で有名な投げ技である。体格に恵まれた選手の中にあって、互角に戦えたのはこの「柔よく剛を制す」得意技で試合に臨んでいたからに違いない。

そんな嘉藤には印象に残る仕事があった。事業仕分けの場で「2位じゃだめなんでしょうか?世界一になる理由は何でしょうか?」で一躍有名になったスーパーコンピューター*9の正面フレームの製作だ。一般的に使用されるサーバー機より千倍以上の演算性能を誇るこのモンスターマシンのフレーム製作には、高度な技術が求められる。このプロジェクトを乗り切るための豊富な経験は、CATIA(キャティア)*10の仕事を通して積んでいた。

入社から時を経て異動したこの「CATIAマシニンググループ」で大きく成長することが出来たと嘉藤は語る。これまで型を製作するときに、職人の手が欠かせなかった。図面を見ながらヤスリを手にして木型にきれいな面を作って、型を製作*11していた。

ところがCATIAを使うことで、型をパソコンでプログラミングし、マシニングセンターに金属を乗せて直接加工できるようになった。

このCATIA、嘉藤が入社する一年前から、後の上司が技術をマスターするため自動車メーカーの技術研究所に一年間ゲストエンジニアとして出向いた。なにせフランス製で新しいソフト、一年間では体得しきれない。結局、上司とともに嘉藤もゼロから辞書を片手に慣れない英語のマニュアルを読み込んで、右往左往しながら技術を磨いていった。

以前、浦和にあった浅野のCATIA専門会社「真実」には、手伝いによく足を運んだ。例えば光造形*12技術を使って、自動車の外板(ボディ)やヘッドライトの3Dデータを実際の形に成形したり、設計上の強度解析や、プレス金型設計、そして自動車の排気を覆うカバーのデザイン等、CATIAで出来るあらゆることを探った。こうしたデータは本社に転送され、実際のモノづくりに活用された。そんな経験を積み重ねるなかでCATIAによるモデリングのセンスを向上させ、気づけば受注増という成果となって現れた。

職人が手仕事でやってきたことを高度化させる歴史だったと嘉藤は振り返る。嘉藤のキャリアはモデリング中心で、プレスや溶接は他の者に任せてきた。時代の流れだろう。昔はいろいろな技術を経験することで一人前と言われたが、技術・設備が高度化するなかで、現在は専門性を極めてプロとして認められる。

スーパーコンピューターの一件も、嘉藤が生来もつガッツとこれまでの経験を活かした集大成であった。顧客の期待に100%応えるために、No.2ではなくオンリーワンを目指す嘉藤の姿勢にお取引先からの評価も高い。

また人間並みの大きさの門型マシニングを導入したときは、全てをひとりでマニュアルを睨みながら格闘した。これも浅野流の人材育成術だ。仕事を受注してから、未知の設備を導入して若手に任せることで、結果として将来の浅野を担うマイスターに育っていく。800トンのプレス機を導入したときもそうだったと嘉藤は語る。

モータースポーツとその部品に興味があって浅野の扉をたたいた嘉藤の夢は、「試作のときに声をかけていただいて、量産体制への架け橋になることで、お客様に喜ばれたいんです。」とどこまでも驕らない。そして夢は加速する。 「一台の自動車をオール浅野で完成できれば・・・。」と。

「個人の夢は?」の問いには、「日本一周」と答えた嘉藤。謙虚な嘉藤に、浅野の実直な社風がにじみ出る。

*9
気象予測、構造解析、分子動力学、シミュレーション天文学、最適化問題、金融工学等の膨大な計算処理を必要とするシミュレーションを実現するハードやソフトを備えるサーバー。
*10
高機能3次元CADソフト(*4を参照)。フランス最大手のダッソー・システムズが開発。自動車業界で頻繁に利用される。
*11
図面より木型を製作し、シートワックスで板厚処理をする。その型に石膏を流し、「すて石膏モデル」を作成する。続いて「すて石膏モデル」を膨張石膏モデルに作成し直し、砂型に転写する。砂型にZAS合金を流し込み、固まったら砂型を壊し、ZAS型を取り出し、まだ熱いうちに上下の型合わせをして、冷めたら型の完成となる。
*12
液状の樹脂を紫外線レーザーを使用して硬化し、積層することで3Dデータ通りに精密な型を短時間で製作する技術。